近年,水道事業では基盤強化方策の1つとして官民連携が推進されている。第19回民間資金等活用事業推進会(令和5年6月2日)において,令和4年度からの10年間で30兆円の事業規模目標の達成に向け,PPP/PFIの質と量の両面からの充実を図るため,「PPP/PFI推進アクションプラン(令和5年改訂版)」が決定された。
例えば,宮城県は,2021年12月6日,水処理大手「メタウオーター」など計10社が出資した「みずむすびマネジメントみやぎ」(仙台市)に上下水道と工業用水道の運営権を設定する契約を結んだ。県を単位として水道事業運営権を民間事業者に売却する契約は,宮城県が全国で初めてである。「みずむすびマネジメントみやぎ」への運営権の設定は20年間で,対価は10億円となっている。
4流域下水道事業の管路を除く施設運営において,令和4年度から民間企業の資金や経営・技術力を活用する
ことにより,質の高い公共サービスの提供を目指すPFI事業「公共施設等運営権制度」,いわゆる「コンセッ
ション方式」を活用した官民連携事業(みやぎ型管理運営方式)が導入されている。
運営権者であるSPC(特別目的会社)は,メタウオーターが代表企業となり,10社の出資により設立された「みずむすびマネジメントみやぎ」である。このSPCが,経営・技術・企画・改築工事の発注などを主に担当する。
維持管理は,SPCと同じ出資者により設立された,オペレーションとメンテナンスを担う,新OM(オペレーション・メンテナンス)会社「(株)みずむすびサービスみやぎ」により実施されている。
しかし、見つかった問題点がある。
株主企業は,ヴェオリア・ジェネッツ株式会社、メタウォーターサービス株式会社、メタウォーター株式会社、オリックス株式会社、株式会社日立製作所、株式会社日水コン、株式会社橋本店、株式会社復建技術コンサルタント、産電工業株式会社、東急建設株式会社の10社である。
しかし,実際に維持管理に当たる子会社の株の51%を保有し,実権支配するのはフランスの国際的水企業であるヴェオリアの子会社、ヴェオリア・ジェネッツである。ヴェオリアは各国の水道事業民営化に参入し,多くの問題を起こして,最公営化するなど混乱を招いている。
したがって,宮城県の水道事業の現場は外資の支配となるが,県は新OM会社との直接交渉権を持っていない。
フランスのヴェオリアなので,海外の出資者に,県民の納めた料金から配当金が回されていくことになる。
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